92歳の母親が亡くなったことで、その主治医である在宅医を逆恨みして散弾銃で殺害したというショッキングなニュースに、ヴィネは考えさせられました。
ヴィネも在宅医療をしていますが、通常診療もしているので在宅の患者さんは少数です。そしてこれほどに激高する家族やクレームを言う患者や家族には会ったことがありません。でも外来でも少し「あれ?」と思うことはあります。つまり話が通じない、「どうしてそんな考えするのかなあ」と思うことがあります。
しかしこういう方は多少認知機能に衰えが見えているはずです。いわゆる軽度認知症(MCI)です。
認知症には周辺症状というのがあり、それがその人特有の行動を引き起こします。例えば徘徊、異食行動(食べられないものを食べる)、暴言や抵抗、幻視幻聴、妄想、昼夜逆転、不潔行動(ウンチをいじったりする)等々。
在宅にかかわる職種の人たちの半数近くが身の危険を感じるようなことを経験したというデータがありますが、その比率の多さに驚愕です。特に暴言や暴行は問題です。
この犯人も認知症で強い周辺症状(暴言、暴行)があったのだと思います。体が元気なだけあってこういう人は危険です。医療に結び付ければいいのですが、本人は病識がなく困っていないので病院にはかかりません。
この犯人がどうして猟銃を持っていられたのか疑問です。相当のクレーマーだと地元の医療関係者では有名だったらしいので、猟銃の免許が更新されていることが残念です。