架空の中学校、養生中学校の光景です。
この学校のヴィネ校長は教育委員会の中でも変人校長と知られています。コロナ禍第5波の真っ最中の9月、授業再開となりました。ほかの学校では対面授業にするかオンラインにするかはたまたその混合のハイブリットにするか迷っている中、いち早く全員対面授業にすることを決めました。当然一部の保護者からは不安の声が寄せられました。しかし校長はその保護者達を集めてその疑問に答えることにしました。その際には西村秀一先生の著書を紹介し、科学的な根拠があることを説明して納得してもらいました。
さらに授業中や食事の時にアクリル板を使うことを原則禁止して、教室内は換気の程度を常にCO2モニターで監視することにしました。そのために原則窓は開放して扇風機を大量に購入。常に教室内はそよ風が漂うことをイメージしました。また休憩時間は積極的に戸外に出ることを指導。当然マスクは外していいと指導。
生徒達には頻繁な石鹸による手洗いの必要性がないことを説明し、むしろ昼休み時間と下校の前に鼻うがいするように指導。さらにはハチミツを持参してもらい昼食後と下校時にのどに垂らすことを指導。また机やいすの消毒は教師の負担になると判断して禁止。生徒も先生も寝るときは口テープをして寝るように指導。登下校の際もマスクは外していいと指導しました。
そうすると近くの住民からクレームが寄せられました。「子供たちを危険にさらすのか」と、いかにも他者の立場に沿ったような偽善者的な言いがかりです。そこでヴィネ校長は厚労省から「熱中症予防には戸外では十分な距離を取ればマスクをする必要がない」という通達で説得しようと思いました。しかしここで「十分な距離」が2メートルであることを根拠に「2メートル離れないで固まって登下校している」といわれそうなので考えなおしました。
「ううむ、こういう人たちはしゃくし定規にしか考えられないだろうなあ。じゃあウレタンマスクでかわそう」
ウレタンマスクはエアロゾルの吸い込み防止には全く効果ありません。しかし飛沫を外に飛ばすことは避けられます。運動中にどうしてもマスク着用をしなければならない時はウレタンマスクをつけるのがいいです。布マスクも同様ですが、できるだけ薄めの布マスクが正常な呼吸を妨げないのでいいでしょう。マスクをつけさえすればこういう人たちは「おお、ちゃんとマスクつけているな」と納得するはずです。
こうして養生中学校の新学期が始まりました。
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