ある病院の診察風景
医師「残念ながらがんです」
患者「そうですか、治療はどうしたらいいでしょうか」
医師「まずは手術ですね。でもそれだけでは十分じゃないので、抗がん剤と放射線治療が必要です」
患者「ほかに方法はないでしょうか、食事を変えるとか・・・」
医者「食事なんかでは治らないですよ」
患者「じゃあセカンドオピニョンを聞きたいので、よろしくお願いします」
医者「わかりました。セカンドオピニョンは手術だけをして後は様子見るという方法があります」
患者「・・・・・」
わかりましたでしょううかこの笑い話。
話変わってアナザードクターっていうのがあったらいいなあと思うことがありました。
ある癌患者さん、大学病院でオペはすでに終わっていますが、その後再発を疑う所見がでて、抗がん剤の治療を勧められました。腎機能が悪いので受けたくないというと、じゃあ別の病院に行ってくださいと言われたそうです。
別の病院に行くのはいいとしても、今までのデータをくれるのだろうかとか、万が一のことがあったら大学病院に入院させてくれるのだろうか?という心配を吐露されました。
過去にも大学病院で子宮がんの標準治療を断ったら、じゃあほかの病院に行ってくださいと断られた人がいました。
このような判断をする患者さんは少なくはありません。スティーブ・ジョブスも2003年膵臓癌を告知された後、絶対採食と、ハーブや鍼灸で治そうと試みたが、その後腫瘍が大きくなり手術を受け入れました。結局は肝臓移植までして2011年に亡くなりました。
医学的な根拠をもって、医学知識の少ない人の「標準治療を受けたくない」という判断を一蹴することは簡単です。抗がん剤治療に対するイメージは吐き気や脱毛などあまりよくはありません。生活の質はかなり落ちます。さらに標準的な抗がん剤は効果が限定的なので、QOLを重視したい人にとっては余計受けたくないでしょう。
そういう個々の状況を考えずに「じゃあほかのところに行ってください」というのは、あまりにも心がなさすぎ。そういう医者の心の中は「ふん、どうせ受け入れる病院なんかありゃしない。しばらくしたら戻ってくるかもしれないけど、その時には治療できないかもしれないさ。その時に後悔したって知らんから」あたりでしょうか?
ヴィネは思うんですが、受け入れてくれる医者は探せばいますが、入院施設まである病院はなかなか見つかりません。また弱みに付け込むあこぎな金儲け医者に引っかかる可能性もあります。
患者の多様な価値観に向き合えるアナザードクターがいるといいなあと思います。