初診で16歳の高校生がオーバートレーニング症候群だといって来院してきました。すでに他院で血液検査済み。
野球をやっているというその高校生は1月から休部しているという。12月の血検では少し筋肉が壊れた時に出る酵素の値が上昇していましたが3月には正常化していました。しかし体育の授業程度では問題ないが、部活の練習に参加すると、体が重くなって続けられないという。どこの病院に行っても「検査ではよくなっているのになあどうしてだろう」というばかりで困ったというのです。
そんなの当り前じゃないですか!血検でよくなれば体調も改善するんだったら医者いらねえよ。
強度な運動が積み重なって慢性疲労に陥ったんだったら、休めば回復するなんて単純な問題ではないんだよ。
問題は練習環境なんです。
まだ精神的に発育途上の高校生は、上から言われれば従順に従います。でも強い精神的なストレスに耐えるほどの精神は出来上がっていないのです。それを勝利至上主義のコーチや監督は、まるで生徒を機械のパーツのように扱っているのです。練習を積めば強くなる。このくらいのことできないのは甘えてるせいだ。3か月も休んだからもう疲労は取れてるはずだ。それを体が重いというのはたるんでる証拠だ、みたいにね。
この環境を変えなければ治りません。そのためには生徒と親たちが話し合って意思の統一を図り、コーチや監督に直談判に行くのです。しかし多くの場合コーチや監督は理解がありません。だから校長にも話をつけておくのです。そのように準備をして練習環境を変えなければ、今後も多くの犠牲者が出てきます。
学校で子供たちが事件や事故でなくなることがよく報道されますが、実は全国的に見れば同じことが何度も繰り返されているのです。一つの高校でいじめで自殺があったとしても、それはその学校では初めての事かもしれませんが、全国的に見れば同じようなことが何度も繰り返されているのです。しかし学校現場では何も学んでいないのです。
部活で過剰な指導で子供たちが命を落としても、ほとんど同じようなことが何度も繰り返されます。先生たちはその事件を全く知らないかのようです。
以上、野球部の生徒はヴィネの言葉に一つ一つ頷いてくれました。救われるのはこの少年が目に力は力があり、うつろな表情ではなかったことです。沈んだ表情をしていると本格的な鬱の可能性がありますから、さらに深刻です。eつの学校で
ところでどうしてこの親子が当院に来たかですが、彼の友人が別の高校で野球をしていて、彼の母親に相談したところ、その方が競艇選手で、10年以上前に当院を受診していて、いろいろ相談に乗ってあげた方だったのです。