よく「好きなもの食べてダイエット」という広告をみますが、多くは何らかのサプリを売るための宣伝文句ですので、絶対の飛びつかない方がいいです。
ところがこの度、新聞記事にそんな見出しがあったので、興味をもって読みました。
人生最大の体重に陥ってしまったというその人は、大学教授です。しかも公衆衛生学を専門にして、内閣府の食品安全委員会に所属しているというのですから驚きです。太った理由として、「更年期を経て代謝が落ちた上にコロナ禍で在宅勤務が続き」とありましたが、まずここが問題。外部に原因を擦り付けている。代謝が落ちたら食べる量を減らせばいいことです。在宅勤務になったからといっても、外出制限はないんだから、通勤時間に使ってた分を運動に回せば、通勤より効率の高い運動ができます。ダイエットの基本ですが、公衆衛生学専門のこの教授は知らに野田と思われます。挙句の果てに外出先で転倒して両足骨折。入院期間中に病院食を食べてたら2キロやせて初めて「これまで食べ過ぎていたのかも」と気づいたというのです。太り始めた時に食べ過ぎに気づかなかったんでしょうか、繰り返しますが、内閣府の食品安全委員会のメンバーですよ。もしかすると安全な食品ならいくら食べても体に害がないとお考えなのかもしれません。
そして頼ったのが管理栄養士。素人は一つ一つの料理を見てもカロリーが想定できないので、1日あたり米300g、たんぱく質300g、野菜300gという基準さえ守れば種類や調理法を問わずに食べて構わないというやり方です。食べ過ぎた時は3日から1週間で帳尻を合わせるという。ほかに小さめの食器にするとか器を直接手に持つとかの細かい工夫も取り入れるとのことだ。
こうしてこの食品安全の専門家教授は1年で10キロの体重減量に成功したという。おめでとうございます!そしてなんと本まで出版したという。
本を実際読んでませんが、ここに書かれていることだけで減量できると思ったらおそらく失敗します。というのはまず「好きなもの食べて」と言いながら間食のことが書かれていません。ダイエットの最大の敵はスイーツです。そしてたんぱく質ですが、さしの入った肉が大好きな人にとって、もしそんなもの毎日食べたら絶対に太ります。さらに実際本にどう書かれているかわかりませんが、おそらくこの量では満腹感が得られないでしょう。その気持ちをどう克服するかです。「好きなもの食べていいっていうけど、好きなだけ食べられるんじゃないから続かない」とドロップアウトする人も多いでしょう。
ヴィネの提唱するダイエットはやはり運動と食事のセットです。食事はまず糖質制限の重要性を理解してもらいます。糖質が人にとっては麻薬なのです。一方野菜は量を気にせず食べなさいと言います。たんぱく質もあまり制限はしませんが、脂がのりすぎているものは控えるべきです。
そして食事の時に空腹感があるような食事をするべきと伝えます。つまり夕食の前に空腹感がないのなら、それはその前の食事を食べ過ぎていたということになるのです。そういう反省する機会を設けるのです。また体重測定も重要です。それをグラフにしなきゃだめですよ。
食べ過ぎた時は3日とか時間を置くと食べ過ぎたことの記憶が消えますから、次の日に帳尻合わせしなければいけません。この時も反省するのです。
そうするうちに食に対する考えが変わってきます。食事が単なる好きなものを楽しむ行為という考えから次第に変わってくることを期待します。どのように変わるかは人それぞれです。命をいただくことに対する感謝の気持ちがわく人もいれば、食がその人を作るものなのだ(you are what you eat)という考えに至れば、今まで食べていたものでも「こんなもの食べていちゃいけない」と控えたくなるかもしれません。さらには加工食品のできる過程を知ることで、「メーカーってこうやって作っているのか」と、食べるのをためらうこともあるかもしれません。
つまりダイエットとは、単に体重を減らして見かけよくする行為ではなく、その人の思想までをも変えうる壮大なチャレンジととらえるべきなのです。(ウットリ)