国家予算の中で占める医療費は膨大なものです。コロナパンデミックでその数字は天井知らずになっています。医療費の中でも薬剤費の占める割合がかなり大きく、国はジェネリックへのシフトを積極的に推し進めています。しかし使われずに廃棄する薬のことを考えないで改革なんて言えませんよ。
廃棄薬の問題の深さは、この問題に誰も気づいていない、というより気づこうとしていないことです。つまり薬局は薬が多く出ればそれだけ儲けるし、医者も薬減らす勇気がなく、どんどんプラスする方向に気持ちが行きがちなのです。そして高齢者はあまり金銭的負担がないから問題にしない。飲み忘れて残薬がバラバラになると、何を飲んだらいいかわからなくなるので余計薬の余りが出てくる。
下の写真左はある漢方専門医(漢方以外の薬知らないと豪語するほどの医者)が、ほかの医院でもらってた薬をやめさせて漢方に変更させたけど、患者は飲む量が多くて残ってしまったという例で、ヴィネのところに持参されました。何とか使おうと管理を請け負ったのですが、もう2年以上たつので廃棄せざるを得なくなりました。
右はもうなくなられた悪性腫瘍の患者さんで、在宅医療に移行する前に最後の処方として1か月分処方されました。この医者は医学的にはこれらの薬を飲めば症状は改善すると確信しているのでしょうが、患者さんが末期状態で、こんな大量の薬が飲めやしないなんて状況は、全く関心がないのです。このように在宅に移行する直前の処方が、最後の儲けとばかりに、1か月とか3か月も出すのです。いったい何考えているのか!在宅医はあんたのしもべじゃないんだ、とヴィネは怒り心頭です。今までの治療が継続されないから、在宅に行くのであって、これまでと同じ処方を1か月以上出すというのは、状況を全く理解していないのです。患者が自分の手元を離れてからのことなど全く関心なし。