「そんなわけはない。うちじゃせいぜい130台だ。この血圧計壊れているんだ」
というような主張をする患者さんは少なくないです。
でもそれはあなたの間違いです。血圧計はただ無心で淡々とあなたの血圧を測定します。このような自己主張する人は様々な条件で血圧が変動することを理解していないのです。
医療機関での血圧は緊張するので一般に高いといわれています。だから医療機関での血圧は5とか10とか引き算して自宅の血圧と考えるようにと学会でいっています。しかし中には50くらい上がる人もいます。
そんな説明をしても絶対に高い血圧を認めずに、機械のせいにする人がいます。しかしこれが逆に自宅血圧が高くて、医療機関ではぐっと低くなったら(実際には非常にまれですが)どう反応するでしょうか?「そんなはずはない。もっと高いはずだからもう一回測ってくれ」というひとはまずいないでしょう。つまり人間は都合の悪いことは認めたがらないのです。
話はそれますが、ヴィネだってそういう気持ちはあります。毎日体重測定をするのですが、体重が多い時は記録しない日が続きます。減ってくると記録します。誰に知られるわけでもないのに・・・。
ヴィネは高血圧の患者さんに早朝の自宅の血圧を測定するように言います。早朝は一日の中で一番大事な血圧だからです。まったく測定しない人もいますが、ちゃんと必要性を説明すれば相当数の患者さんが協力してくれます。高血圧の患者さんの中には変動が非常に少ない人もいますが、とても乱高下する人もいます。どちらも高血圧ですが、後者はコントロールしにくいしリスクも高いです。問題は低い時ではなく、高い時に起こるのですが、高い血圧を下げようとすると、低い時の血圧も下がるからです。低くても無症状ならかまわないのですが、低いことに対してはみんなビビります「100切ったんですがだいじょうぶですか?」ってな具合に。逆に150くらいあっても多くの人は気にしていません。「低い時もあるんだからいいんじゃないの」っという気持ちなのかもしれません