もうすでに何度も書いてきましたが、改めて非常に重要な事柄なので、まとめの意味で再掲載します。
ヴィネは医者になって間もなく、風邪をひいていた時に抗生剤を飲んでいるところを同級生に見られて
「風邪はウイルスだからな、基本抗生剤じゃないぞ」と言われたことをつい昨日のことのように思い出します。
しかしそれから何年もの間、先輩医師が何のためらいもなく抗生剤を出すシーンを見てきました。そしてその理由がほとんど「風邪ひいて体力落とせば細菌性の肺炎になることもあるから、予防的に出すんだよ」でした。当時は「抗生剤を出さなきゃ、PLみたいな総合感冒剤だよなあ、しかし総合感冒剤には解熱剤も含まれている。熱がないのに解熱剤というのは、細菌感染していないのに抗生剤出すのとあんまり変わりないじゃないか」と頭の中は混乱していました。
少しレベルが上の先生は、鎮咳去痰剤を組み合わせていくつか出したり、症状に合わせて鼻水や扁桃腺の薬を出したりしていました。しかし多くの風邪の患者さんを扱うのに、いちいち症状に合わせて薬を変えるのは大変手間のかかる作業で、多くの病院では「決まり処方」というのがあって、結局は総合感冒剤みたいになってるんじゃないかという疑問がずっと残っていました。
ろくな進歩がないまま長い年月が過ぎました。年に3回ぐらいのどが痛くなり熱を出して寝込むことがあったかもしれません。
1997,8年ころに漢方を学びました。西洋薬よりも漢方のほうが風邪に対してはずっときめ細かい配慮がなされていると思われました。そして早め早めに薬を飲むこともするようになりました。しかし今までに比べて劇的に治りやすくなったかというと、私の体があまり官報に反応しないのか、それとも処方の仕方が悪いのか、強く効果を実感することはありませんでした。
そしてすでにご存じの方もいると思いますが、1999年のスパルタスロンで転機が訪れました。レース前日に乾燥したアテネの街を走って、夜中にのどが痛くなり、苦肉の策で手持ちのニンニク蜂蜜を痛んでいるのどに垂らしたのです。すると劇的に効果を発揮して、翌日には万全の体調でレースに臨み3位に入賞したのです。
2000年に開業しましたが、その時以来、「扁桃炎にはのど蜂蜜」と何度言ってきたか・・・。ヴィネ自身ものど蜂蜜をやることで、高熱を出して寝込んだり、仕事を休まなければならないということはなくなりました。しかしのど蜂蜜はのどには効果があるのですが、鼻かぜには無力でした。のどの痛みは蜂蜜で瞬く間に良くなるのですが、その後鼻水に移行してしまうのです。したがって鼻声になったりして患者さんに「先生風邪ひいた?」と言われて、ちょっと悔しい思いをしていました。
そしてさらにレベルアップしたのは口ばんそうこうのおかげです。のど蜂蜜は言ってみれば早期治療であって予防法ではないのです。しかし口ばんそうこうは究極の予防法になるのです。
このことでヴィネは粘膜の機能に気づきました。つまり「粘膜は乾かしてはいけない」ということです。乾かしてしまうと本来粘膜の持っている機能は全く発揮されなくなってしまうのです。そしてのどが渇く要因は寝ているときに口が開いているからなのだと気づきました。おそらく人間は上向きで寝るようになり、それまでより長い時間口を開けて寝るようになったはずです。酒を飲むようになると余計顎周りの筋肉の緊張が取れて口が開きやすくなります。肥満がそれに拍車をかけます。
こうしてほぼ完ぺきに風邪をひかなくなるという領域に達することができました。今年2月にはさらに進化して鼻うがいを取り入れました。ヴィネの場合ほとんどがのどからくる風邪ですので、鼻うがいを導入しなくても完璧な対策になるのですが、鼻かぜひきやすい人は、これを完璧に予防するには鼻うがいが必須になります。また、新型コロナは予想できない行動をとることがあるので、鼻に入ってきた時点で対処する必要があるという考えに至ったわけです。
こうして40年に及ぶ医者生活で風邪をひかない神の領域に達したのです。えへん!!
「風邪に効く薬が発明されたらノーベル賞ものだよ」と聞いたことがあるけど、来年のノーベル医学生理学賞はもらえないでしょうか?