我々が普段得られるコロナ関連の情報は、分科会(以前の専門家会議)に所属する専門家の意見が中心となっています。しかしこのような表舞台には出てこない専門家こそ、芯をつく重要なことを言っているのではないかと思うことがしばしばです。専門家として分科会に参加している人たちは政府の意向に忖度しているとしか思えません。
7月12日に国立病院機構仙台医療センター・ウイルスセンター長の西村秀一氏が唯一まともな専門家と紹介しましたが、今日は神戸大学病院感染症内科教授/診療部長の岩田健太郎氏の意見をご紹介します。(カッコ内はヴィネの意見)
現在は第2波の真っただ中にいる。(政府は第2という認識をしていない)新型コロナウイルスはインフルと違って自然消滅はない。感染者がいたら必ず感染拡大がぶり返すので、継続的に抑え込む必要がある。そのためには感染経路の遮断が不可欠であり、7月に対策を緩めてGOToキャンペーンを勧めてしまって対策が放置されてしまった。そのためには濃厚接触者を検査して陽性者を隔離する。時に病棟閉鎖やロックダウンをする必要がある。第1波の時の緊急事態宣言は長すぎて失うものも多すぎた。感染者が増えている地域限定で強力な対策を短期間で行うことだ。
PCR検査は感染者が少ない地域では感染者と濃厚接触者だけ検査すればいい。感染者の増加に合わせて検査規模を増やす必要がある。日本のPCR検査のキャパは足りなすぎる。感染拡大に備えてキャパを確保するべき。第一波の後に十分な検査能力を持てる体制をとっておくべきだった。(これは今からでもできる対策のはず)
日本のdコロナ対策の最大の問題点はこの感染症にどう向き合っていくかという明確なビジョンも戦略もないことだ。つまり場当たり的な対応に終始している。中国、韓国、台湾、ベトナム、オーストラリア、ドイツなど、経済を回しながら感染が拡大すればすぐに抑え込みにかかる。しかし日本は「医療のキャパがある」と言って茫然と眺めているだけ。
こうなってしまった原因は専門家がしっかりした役割を果たしていないからだ。政府が専門家会議を分科会に矮小化し、専門家が政治家の方針に従うような仕組みにしてしまった。(日本の忖度文化がこの数年で強く世間に浸透してしまった結果だと思われる)分科会では政治家や官僚が口を出す場になっている。まともな感染症対策をしようと思ったら米国にあるCDC疾病予防管理センターのような感染症対策の司令塔となる組織を作るべきだ。そしてその組織は独立性がなければいけない。専門家たちが政治家や官僚に横やりを入れられずにそれぞれの知見に基づいた報告書やガイドラインが出せるようにするべきです。
医療機関は感染者がいつでも医療機関に入ってくることを前提に対策をとりながら診療を続けることが重要です。(一般の市民も、自分の体にコロナが入ってくることを前提に対策をとるべきです。そのために鼻うがいと蜂蜜うがいが重要なのです)
岩田教授と西村秀一氏の言うことには共通点があります。岩田教授の言うコロナ対策は一言でいうと「感染状況に応じたメリハリのある対策をとるべきだ」ということにあんるのでしょう。これは西村氏の言う「専門家は確率で物事を語れ」というのと中身は一致しています。
第一波のさなか岩手県は感染者がゼロでした。なのに一律の緊急事態宣言を全国一律に行ったのは大きな間違いだった。千葉県でも南房総はほとんど患者がいなかった。もっと地域を細かく限定して緊急事態宣言を出すべきだった。全国一律の緊急事態宣言は日本中にコロナに対する単に怖いというイメージを植え付けることになり、自粛警察なるものまで発生することとなったのです。