ヴィネがはじめてむくみを自覚したのは、確か2000年頃のスパルタスロンのあとだったと思います。
ゴールした日の夜、友人のO君とケバブ料理の店先に立ち、こき使った筋肉へのご褒美と空腹を満たすために、何を食ったらいいか見渡して、迷うことなく二人ともごっつい豚肉の塊を選んだのでした。ところがこれがチョーしょっぱかった。海外では日本の味を想像して見た目だけで買ってはいけないと、この時初めて気づいたのです。
その次の日の朝でした。顔はパンパン足もむくれあがり、この時人生で初めてむくみというものを実感したのです。それまでは、酒を大量に飲んだ日の翌日にむくんだこともあったかもしれませんが、自覚したことはありませんでした。
以後、むくみに敏感になりました。そして開業してから若い人でもむくみを実感していることを知り、さらに興味をひかれたわけです。
むくみを数字で知るには体重測定が簡単です。食前に同じ条件で体重測定して、一日で例えば1キロの変動があったらそれはほぼむくみです。つまり1キロの水分をためているのです。朝に体重が増えているか夜に増えているか人によります。酒を飲む人は朝に増えて、中等度の運動する人も朝に増えて、座業の多い事務職の女性は午後に増えている傾向にあると思います。
体重に変化がないからと言ってむくみがないとは言い切れません。常に非常にむくんでいる人はいつ測定しても体重は同じである可能性があるからです。
さてむくみの原因ですが、塩分過多、アルコール多飲、腎機能障害、薬の副作用、運動不足などがあげられます。しかし原因不明の場合もあります。年齢とともにむくむ可能性が高くなるようですので、中高年ランナーも気にしている人がいると思われます。
むくんでいると走りに影響が出るのではないか?最近のヴィネのテーマはこれです。これは単にむくんでいる分だけ重いから、という単純な理由ではなく、むくんでいると筋肉の動きが制限されているのではないかと思われます。走り初めにこういう状況だと「きょうは調子悪いなあ」とネガティブな気持ちになり、結局最後まで走りに精彩を欠く可能性もあります。
そこでむくみ対策ですが、まずは塩分を減らそう。そしてアルコールも。
と言ってそれに「はい」としたがうランナーがどれだけいるでしょうか?
そこで薬の登場となります。世の中に利尿剤はいろいろありますが、効果が高い薬は確かに短時間でむくみがすっきりはするのですが、15分ごとにトイレに行かなければならなくなるほど強い効果があるので日常的には使い切れません。漢方が効果ある人もいますが、一日2回3回と飲むのは面倒です。ヴィネのおすすめはダイアモックスです。マイルドでありながら確実に利尿作用があります。
これは適応範囲の広い薬で、適応症として緑内障、てんかん、月経全症候群、メニエル症候群、睡眠時無呼吸症候群の適応が通っています。さらに適応外ですが、高山病の予防にも使われます。ヴィネは月経全症候群の患者さんに頻繁に使用しています。ただ、手がしびれる副作用がかなりの確率で出るので、だれにでも使えるというわけではありません。
利尿剤としてダイアモックスはそんなに使われる薬ではありませんが、これから注目されてもいい薬かもしれません。