長崎大学熱帯医学研究所の山本太郎教授の感染症に対する切り口は斬新で、通り一遍の感染症対策をしている専門家とは全く異なり、深く考えさせられます。その一部を記載します。
「人類は文明や科学の力で感染症と闘って来た」というイメージを持っているが、巨視的には「文明は感染症のゆりかご」として機能してきた一面もあるという。つまり現在知られている感染症(流行を起こすほどの感染症という意味だと思います)の大半は農耕以前の狩猟採取時代には存在しなかったのです。
農耕により人が集まり定住するようになり、穀物を貯蔵する必要が出てきて、貯蔵庫を狙うネズミがペストを持ち込んだ。家畜を飼うことで動物由来の感染症も増えた。
こう考えると感染症も糖尿病の歴史と重複しているところがあるんだと思いますね。」
教授はさらに続けます。実は感染症を多く抱えている文明のほうがそうでない文明に比べてずっと強靭だとのこと。南米インカ文明が200人足らずのスペイン軍によって滅ぼされたのは、スペイン人のもちこんだ感染症が一因だとのこと。そう考えると江戸末期に黒船によって西洋の感染症が持ち込まれなかった(?)日本はラッキーだったのでしょうか?