仰々しい学会発表のような内容ですが、結構真剣な内容で、膝ポンものです。
今時の医者で口内炎を真剣に考えている医者は皆無でしょう。口内炎出来た患者には口腔内専用のステロイド軟膏か貼付剤を出すだけで何の説明もされないことでしょう。まれに頻発する口内炎にはベーチェット病を疑って検査するかもしれませんが、99%以上普通の口内炎です。
ヴィネは違います。
まずは食べ過ぎがないかどうか聞きます。普通はみんな「ない」と答えますが、大体の現代人は普段が食べ過ぎだから、ことさら自分が食べ過ぎとは考えていません。ここでしつこく「いやあんた食べ過ぎてますよ」とは言いません。たいてい反発されますから。
続いて口内炎治療は痛くなる前に開始すればすぐ治るので、口の中に違和感(ふつうは痛みのな腫れ)を感じた時に口内炎治療開始すれば、1,2回で治ると説明します。みんな放置して3日くらいして痛すぎて受診するから治るまで1週間かかるのです。ここで患者さんは「へー、そうなんだ」と感心します。
さらになぜ口内炎になるのかについて説明に及びます。口内炎で痛くなるのは食べさせないためなんですよ。昔は柔らかいものがないから、口内炎になると硬い食事材が当たっていたいから食べなくなり、それで治ったんだけど、今では痛くてもやわらかい物や流し込む食べ物で食事量を減らさなくて済むようになったので、今まで通り食べ続けるので治りにくくなったんですよ。ここまで説明すると「そうそう、カステラを牛乳で流し込んでいたわ」と、患者さんはどんどん話に引き込まれていきます。
ヴィネは20年前に甲田医院で超少食糧法の体験入院しました。この後しばらくして口腔粘膜を噛んでしまったときに自然治癒した経験があり、驚いたことがありました。その後も自然にできた口内炎が食事を減らすことで自然に消退することに気づき、口内炎の発症機序が食べ過ぎないし胃への負担過剰にあり、治りにくいのは食事量を減らさして胃への負担を軽減しないからだという結論に至ったのです。
ここまで説明すると患者さんのヴィネを見る目の瞳孔に、ヴィネの背景に輝く後光が反射していることに気づきます。アーメン。